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ブライトンの純利益の件ってどのくらいすごいの?




ブライトンが先日2022-23シーズンの決算を発表し、純利益を前会計年度の2410万ポンドから1億2280万ポンドに増やしたというニュースが話題(?)になりました。


1億2280万ポンドというのは日本円に換算すると約234億円(今の為替レート参照)なのですが、これがどれくらいすごいかイマイチ理解できていない人も多いかもしれません。なので、今回は簡単にここの凄さをできるだけわかりやすく簡潔にお伝えします。


今回の決算で、ブライトンは売上高についても全プレミアリーグのクラブの中で最も高く、2021-22シーズンの1億7,450万ポンドに対して17.2%増の2億450万ポンドを記録しています。この数字には、昨年のアレクシス・マック・アリスター、イヴ・ビスマ、マルク・ククレジャの移籍金と、グレアム・ポッター前監督のチェルシー移籍に伴う補償金が含まれています。


なお、イギリス史上最高額となる1億1500万ポンド(約216億円)の移籍金を記録したモイセス・カイセドやロベルト・サンチェスの売却に伴う移籍金に関してはいずれも本決算終了日の2023年6月30日以降であり、今回の決算には含まれていないというのがさらに驚きです。


アストン・ヴィラ(1億2000万ポンド)、チェルシー(9000万ポンド)、エヴァートン(8900万ポンド)、レスター(9000万ポンド)、ニューカッスル・ユナイテッド(7300万ポンド)、ノッティンガム・フォレスト(5200万ポンド)、ウルブス(6700万ポンド)など、多くのクラブが2022-23シーズンの決算で大幅な赤字を計上する中、ブライトンはこの記録的な数字を実現させました。


※ただし、サッカークラブは年単位での赤字が必ずしも悪いというわけではないので、長期的な目線で会計を分析する必要があります。


ブライトンは昨シーズンリーグ戦をクラブ史上最高の6位でフィニッシュし、ヨーロッパリーグ出場権を獲得し、さらにはFAカップでは準決勝にも進出しました。これらのピッチ上の成功がこの大幅な売上高の向上、そして利益を産む一つの要因となったことは間違いありません。


プレミアリーグとは無縁で、下部リーグのどん底でもがき苦しみ、1997年には破産の危機に直面したシーガルズですが、そこから見事に立ち直り、ここまで到達したことは賞賛に値するでしょう。


大きな転換となったのは2009年にスポーツベッティングで成功を収めた起業家であるトニー・ブルーム氏が着任してからでしょう。ブルーム氏の巨額の投資に頼りながら、クラブは成長を続けてきました。アメックス・スタジアムの建設に資金を提供から、最先端のトレーニング・グラウンドの建設にも、ブルーム氏が介在しており、さらに三笘選手などを発掘する最新鋭のスカウティングシステムにも大きな投資を行い改善してきました。


直近のシーズンでブライトンは随時、選手売却で利益をあげています。そこから毎年利益を出しており、いい選手を外から安く仕入れて高く売るという経営モデルにとって、このスカウティングシステムは不可欠の要素でしょう。さらに、これまでブルーム氏の投資に依存してきたブライトンですが、今回を転機にさらに持続可能な経営スタイルにシフトしていくことを示唆しています。


ポール・バーバー副会長兼最高経営責任者はコメントで「ピッチの上で歴史を作ったシーズンで、クラブの長年の目標である、より持続可能なクラブになり、トニー・ブルームの信じられないほど寛大なレベルの投資への依存を減らすという点で、我々は大きな一歩を踏み出した。私たちは今、チームへの投資によって、ピッチ上で大きな前進を続けるための非常に強固な基盤を手に入れた。夢は、定期的に欧州の舞台と銀メダルに挑戦することだ」と述べています。


こういう着眼点からクラブを応援するのもなかなか面白く醍醐味があります。ブライトンは決してビッグクラブではないかもしれないですが、発展途上のポテンシャルを大いに孕んだクラブという目で見ると、さらに魅力的なクラブになるかもしれませんね。

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